Zwillinge

「ねえ、ピアスって開けた時どれぐらい痛い?」
最近では開けていないほうが珍しいのだが、ティナの耳にはピアスホールはない。
放課後寄り道したマックで幼馴染で小中高と共に過ごしてきたフリオニールとティーダは尋ねられ、顔を見合わせた。。
さすがに制服姿の今は透明ピアスのみだが、二人とも私服の時はアクセサリーを積極的に付ける。そこにスコールが加われば、シルバー談議に花が咲くこともある。
「うーん、もう覚えてないッス。なあ、フリオ」
「だな。それにピアッサーあるし」
「よーく冷やしときゃダイジョブだった…と思う」
「あんまり痛くなさそうなら、開けてみようかな。ピアスのほうが可愛いデザイン多いから」
帰りにドラッグストアによることにして、また別の話題へと移っていった。

両親とも旅行でいないからとコンビニ弁当で夕食を済ませ、フリオニールはだらだらとテレビを見ていた。
インターホンがなりしぶしぶ立ち上る。隣の家に住むティーダの突撃はたいていが親とけんかしただのやりたいゲームがあるだのくだらない用事だ。
「はい」
『あの、フリオニール』
「ティナ!」
ざらついたモニターに映ったのは、二軒隣に住む少女で、あわてて玄関を開けて中に招き入れる。
「どうしたんだ、こんな時間に」
「あのね、お父さんがいない間に開けようと思ったんだけど…やっぱり怖くて」
ぎゅっと握りしめられた手の中には、まだパッケージから出してもいないおとつい買ったピアッサーが二つ。
「だから、フリオニールに開けてもらおうと思って。…だめかな」
じい、と見上げる視線に弱いのは昔からで、ついついフリオニールはうなずいてしまった。
「ありがとう」
「じゃあ、氷とってくるから…耳出しておいてくれ」
「うん」
台所で適当に出したビニールに氷を放り込みながら、こっそりため息をつく。
ティナの警戒心はどうして自分やティーダには働かないのだろう。
(いや、まあそりゃ幼馴染なんだけど! 耳年増そうな友達いっぱいいるんだが…そういう話しないってわけじゃないだろうに。恋愛対象から外れてるんだろうな)
魅力がないといわれているようできつい。最近彼女を意識しだしたからなおさら。
「できた?」
「うん」
(わあ)
リビングへ戻ってみれば、ティナはすっかり髪をまとめ直していて、細い首がより強調されているように見える。
(耐えろ、俺! 襟ぐり深くない服でちょっと残念…いやいやそうじゃなくて)
そっち方面に積極的ではないとはいえ、やはりフリオニールも年頃。意識をむけないように小難しい数式を思い起こしてみるが、むなしい努力に終わる。
氷で耳たぶを冷やしながら、なんとかふだん通りに会話しようとこころみた。
「でもどうして急に開けようと思ったんだ? あのとき別にピアスの話してたわけじゃないだろ」
「笑わない?」
「約束する」
「クラスの子がね、彼氏とおそろいの指輪自慢してたの。うらやましいなぁ、って。……フリオニールとおそろいしたいなって思ったから」
(え)
うつむき加減に話すティナのうなじが、さあっと赤くなるのがわかった。自分もほほが熱い。
「……言っちゃった」
(ええと)
「フリオニールもてるから、もう好きな人いるだろうし」
(なんて言った)
「せめて、ピアスくらいはおそろいにしたかったから」
(それとも耳がおかしくなったのか)
「ごめんね、急にこんなこと言って。めいわくだったよね」
「そんなことない!」
ようやく頭に意味がきちんと伝わったフリオニールは、声が震えだしたティナを思いっきりだきしめた。
「絶対、迷惑じゃない」
「ホント? フリオニールやさしいから」
「本当! だいたい迷惑だったら…いっしょになんていないし」

「それに俺も、ティナとおそろいがいい」



初出はブログ。
最初は好きな子の耳にピアスを開けるという大変エロティック(だと自分は思う)な行為をねちっこく描写したかったんですが…どこをどう転んだのか。ティーダは書きやすいのでつい出してしまいます。

ここまで読んでくださって、ありがとうございました。
100227 翔竜翼飛

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